加賀百万石の祖とも称される前田利家(まえだとしいえ)本名を前田又左衛門利家といいます。
織田信長に仕え、豊臣秀吉とは親友というまさに戦国時代のメインキャラクターの1人ですね。
また、甥には漫画「花の慶次」で有名な前田慶次をもちます。
前田慶次といえば傾奇者(かぶきもの)として有名ですが、叔父にあたる前田利家も傾奇者であったとされています。
その際たる例が前田利家の兜に表れています。
その兜にはトンボが付いていたり、ナマズの尾がモチーフになっているものがあります。
今回はそんな前田利家の兜について
- 兜にトンボがついている理由
- なまずをモチーフにした兜について
以上の内容でお送りします。
前田利家の兜にトンボが付いている理由
武将の兜といえば、個性豊かな前立てが特徴的ですね。(前立てとは兜の前面に付いている装飾品のことです)
前田利家は兜の前立てにトンボをモチーフにした装飾を採用していました。
なぜトンボだったのでしょうか?
トンボは「勝ち虫」として人気
勝ち虫というものをご存知でしょうか?
勝ち虫とは、その属性と性質から勝利を呼ぶ虫として武将に人気のあった虫のことをさしています。
勝ち虫としてはトンボ以外にムカデが有名です。
武田信玄率いる武田軍の伝令部隊に『百足衆』という集団がおり、この部隊の象徴にムカデが使われていました。
詳しくはこちら↓
トンボが「勝ち虫」の理由
先ほど、トンボは勝ち虫として武将に人気があったと紹介しました。
では何故トンボが勝ち虫とされているか解説していきます。
- トンボは前進しかしない
トンボは特性上、後退をしません。
「前進しかしない、後退しない」は戦において勝ち進む、退却しない、負けない
といった意味合いがあります。
また、不退転(信念を持ち何事にも屈しない)の精神を表しています。
- トンボは最強の昆虫!?
実はトンボ(オニヤンマ)は昆虫界でも最強なのではないか!?とされるほど強い昆虫です。
飛行能力の高さを活かして空中でアブ、ハエなどの小型の昆虫を空中で捕らえて食べますが、なんとあのスズメバチすら捕食してしまうほどなんです。
こういったトンボの前進しかしないという性質とトンボの強さから「勝ち虫」とされているようですね。
そんな縁起がよくて強いトンボだから前田利家は自身の兜の前立てに採用したのではないでしょうか。
なまずのような兜
前田利家はナマズをモチーフとした兜も被っていました。トンボよりもこちらの兜の方が前田利家の印象としては強いと思います。
銀鯰尾兜
このナマズをモチーフとした兜の名前は
「銀鯰尾兜(ぎんなまずおかぶと)」といいます。
その名の通り、銀色のナマズの尾が上に伸びているような形状の兜です。
その長さは1.27メートルもあったそうです!
前田利家の身長は6尺、約182㎝もあっとそうです。当時の男性の平均身長が157㎝だったことからもかなり大柄な武将でした。
その大柄な武将がさらに長さ1.27mもの兜を被る訳ですから、前田利家が立ち上がると約3mものシルエットになる訳ですから威圧感は相当のものだったのではないでしょうか?
ナマズをモチーフにした理由
戦国時代には地震はナマズが起こしていると思われていました。
強大な自然災害である地震を起こすほどの魚をモチーフにすることは
トンボやムカデが後退しない=負けない
のように
地震を起こすほどのエネルギーがわたしにはあるぞ!!
といった意味合いがあったのだと思います。
まとめ
今回は前田利家の兜にトンボがついている理由とナマズの兜について解説しました。
トンボもナマズも戦に勝つための験担ぎのための縁起物だったようです。
それにしても当時の武将たちの兜や甲冑は個性豊かで面白いものがたくさんあるのでまた取り上げていきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。